若いときは反体制に、限る
ノクターン/チャーリー・ヘイデン
日曜の夕方が好きである。
僕は週休1日なのでとにかく日曜は楽しもうと努力する。
そのメインイベントは酒を飲みながらの夕食だが、夕食前にも酒を飲む。ウイスキーである。最近は国産の山崎に凝っているかな。
青山の酒場で買ったちょっとおおぶりのウイスキーグラスに氷と琥珀色のウイスキーを注いで、部屋で音楽を聴きながらというのが僕の人生での贅沢。
今日は何を聴こうかと考える。
仕事で朝から晩まで毎日音楽漬けなのに、休みの日も何を聴こうか考えているのだから、音楽が本当に好きなんだよなと苦笑い。おとなの瞬間である。
で、僕はチャーリー・ヘイデンのノクターンに決めた。
これはラテンアメリカの音楽を集めたメロディ集という感じで、パット・メセニーやゴンサロ・ルバルカバと一緒にやっている名盤である。
とにかく選曲が良い。
1曲目の表題作も良いが、2曲目のNoce De Rondaがイイ。10曲目の「Tres Palabras」もイイ。。
言っとくけどルバルカバもジョー・ロバーノも大した演奏はしていません。メロディを単純に演奏するにとめている。これなら誰が演奏したって同じである。だがパットとヴァイオリンのフェデリコは違う。メロディがぐっと立っている。匂いたつようなメロディスト。彼らがソロをとっているトラックだけ抜き出して聴く。うーん、深い。
でももっと深いのがヘイデンのベース。夜に漂ってます。
何たって第44回グラミー('01年度)の「最優秀ラテン・ジャズ・アルバム賞」を獲得したアルバムである。
ヘイデンのことを思うと、上手く生きていると感心する。
二十歳の頃にロスに上京してアート・ペッパーのグループに入ってデビュー。後にハンプトン・ホーズ(p)やエルモ・ホープ(p)等と共演。とくればドラッグです。ジャズにつきものの中毒患者です。
オーネット・コールマンのバンドで“フリー・ジャズの先駆者”として世の中に紹介され、69年にリベレーション・ミュージック・オーケストラをカーラ・ブレイ等と結成。ゲバラやスペイン戦争に対する想い壮絶なバラードで、要は反戦です。なんたってタイトルが『戦死者たちのバラッド』。
ドラッグでフリージャズで反戦。
その当時、僕の友人のカメラマンが明けがたのNYをベースを担いで歩くヘイデンを見たと連絡をくれました。
貧乏しながら好きなフリージャズやっているミュージシャンという感じで、憧れたものです。
ところがいつからか、本当に最近なんだけれど、ヘイデンに変化がおきました。永遠のアヴァンギャルドともいえるヘイデンが、商売人になっちゃった。
最初はジタンの香りからでしょうか。
大体アバンギャルドのヘイデンがジャンゴ・ラインハルト派のギタリスト,エスクーデとのデュエットして、ジャンゴのゆかりの曲をやる? タイトルが「ジタン」だぁ?
かなり営業の匂いがします。
でもこのアルバムはミックスがダメ。メロディがよく聞こえません。
そのあと、'97年には、パット・メセニーとのデュオ・アルバム『ミズーリの空高く』で、第40回グラミーの「最優秀ジャズ器楽賞」を受賞。それに前後してケニー・バロンとのデュオ・アルバム『ナイト・アンド・ザ・シティ』を'98年にリリース。
「夜と街」です。かなりコンサバな作りでした。
だからこそ、ミックスも最高。すでにジャズ商売人として位置です。
さらに、パット・メセニーやゴンサロ・ルバルカバとの『ノクターン』で、第44回グラミー('01年度)の「最優秀ラテン・ジャズ・アルバム賞」を獲得。'02年の『アメリカン・ドリーム』では、ストリングス・オーケストラをバックにマイケル・ブレッカーやブラッド・メルドーと共演。2004年には再度ゴンサロと組んだ『ランド・オブ・ザ・サン』で第47回グラミーの「最優秀ラテン・ジャズ・アルバム賞」を獲得。
こうなるとクインシー・ジョーンズ状態ですね。ジャズ界のVIPの貫禄。
でもですね、最近のヘイデンの顔、何か実業家然として、好きです。
どうやったらお客さんが喜ぶのか、どうやったらジャズでビジネスが出来るのか、考え抜いている顔です。
ある意味、若い頃はガンガン自分の信じることをやって、ある程度の年になったら売るということを意識して作品を制作してゆく。自分の音楽を最大限に生かす方法を見つけたんでしょう。
ベンツに乗ってエルメスで、都内に高級マンションで、コリー犬を買ってベランダに遊ばせている。そんな生活。いいんじゃないかなあ。正しい年のとり方だなあ。
で、ノクターンを聴くと、プール付きの家から出てくヘイデンが浮かんできました。
「ラテンの酒で美味いよねえ」
「ラテンアメリカの女の子が世界で一番きれいだよね」とほくそえんでいる彼の笑顔です。
だからヘイデンのベースは深いんです。
羽島 亨
P.S.
〜♪ 只今このブログは何位でしょう?
→

P.P.S.
ブログの女王といえば眞鍋かおり
【表】作曲の王道
▲【裏】作曲の王道のトップに戻る






