【裏】作曲の王道 ジャズ & ポップス・レビュー

こんな音楽知ってる?あの「作曲の王道」のプロデューサーとアーティストが、(独断と偏見に満ちた)良質な音楽情報を紹介!

ユセフ・ラティーフ / EASTERN SOUNDS

第15回−ジャズ ユセフ・ラティーフ / スパルタカス愛のテーマ
あやしい東洋サックス吹き


Eastern Sounds Eastern Sounds
Yusef Lateef (2006/07/18)
Prestige/OJC

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ユセフ・ラティーフの「EASTERN SOUNDS」がタワーで売っていた。
何! 「EASTERN SOUNDS」?
こんなアルバムが再発されるのかと感心しつつ、購入。
何故買ったかというと、ずいぶん前に麻布のクラブで後輩たちと酒を飲んでいると、そこにかかっていたのがこの「EASTERN SOUNDS」。5曲目「スパルタカス・愛のテーマ」。

三拍子の美しいジャズワルツでメロディを吹いているのがオーボエに聞こえたものです。DJに問い合わせると、クレジットにテナーサックス、オーボエ、フルートとあるという。なるほど、マルチリード奏者なのね。

メロディが美しい。これはジャズだろうか?
ピアノトリオは完全にジャズやっているんだけれど(ピアノはあのバリー・ハリスだもん当然)、ラティーフのメロが出てくると、何かジャズに聞こえない。
ラベルの「ボレロ」とか「ダッタン人の踊り」とか、クラシック系の音楽を聴いている感じがある。端正で知的です。

その後、ラティーフを集めだしたら、意外や意外。例えばキャノンボール・アダレイのチームで吹いているラティーフは、ほとんど狂人。フルート吹きながら口でウンウンうなってます。
ツバ、ベロベロ。じょろじょろ。
そんなに力んで内臓まで出てしまうよというぐらい力んでました。
それもよくて、土着の暴力が炸裂するサックス吹きという感じ。
ま、トータルで、怪しいです。
でも、怪しいジャズマン大好き。
男は怪しくなきゃね。

「EASTERN SOUNDS」はまず各曲のタイトルがいいです。
「梅の花」です。
「東洋ブルース」です
「チャン・ミアウ」?
イカれたタイトルです。

一曲目をかけると、もう何の楽器かわらかない尺八みたいな音が飛び出して来る。尺八をポンポン叩いて演奏しているのかな、なんて感じです。これが東洋? それがカリプソ風なリズムの上にのっかって、やけに能天気なメロディを奏でています。ハリスとかはグリッサンド奏法を多様して、どう演奏していいのかわからない感じ。

最近僕は思うンだけど、ひとつの楽器を人生かけて習得するような真面目なタイプのミュージシャンもイイけれど、次から次へと楽器を変えていくようなミュージシャンもいいなって思うわけです。
それってどんどん会社を変えてしまうサラリーマンに似てませんか。

会社をどんどん変えてしまうから人脈は広がるし、いろいろ見えるし、違うところから意見を言える。僕の友達にもそういう奴、いたな。やけに世の中が見えている奴。
僕なんかずっと同じ会社に23年もいて、ずっと音楽していて、それで自分で会社を建てて、そこでも音楽して、というような音楽人生なので、社会というものをよく知っているその友達がうらやましかったかな。

奴がある酒の席で、言うわけです。
「会社って役割だからさ、自分の役割を会社に認識させた奴が勝ちなのよ」
「じゃ、おまえの役割は何なのよ」
「決まってるじゃないか。悪役」

奴は朝一番早く会社にいって、社長とかに他の社員が今何をやってるか告げ口するそうで、それが奴の一番重要な仕事と考えているという。
あいつは家建てた後に車買ったから、会社の金使ってるんじゃないかとか、営業部長は新入社員の女の子に手を出しているけどあれでいいのかとか、録音課の部長は外でアルバイトしているとか。
結構社長から信頼があついらしくて、それを自分の仕事と決めてみると、他の社員が奴を嫌うよりむしろ、「これ、社長に言ってくださいよ」といろんな情報をあげてきてくれるようになったと、奴は笑ってました。

ラティーフは同じサックスでテクニシャンのキャノンボールが信頼を置くためには、全然違ったところから玉を投げないと採用されなかったんでしょう。フルート吹いてウンウン唸って、コードにない音どんどん使って、リズムも外し狂って、他のミュージシャンが見えない位置を見つけて演じたンでしょう。

自分のアルバムでは東洋趣味を露骨にあらわして、他のミュージシャンでは出来ないような演奏をしてみせる。ニッチな人ですね。でも、多作です。つまり、アメリカで人気があったわけです。
「梅の花」とかいって、イカサマな東洋趣味を持ち出して、「でも君たち、こんなの好きでしょう? フジヤマに芸者ガール、いいでしょう?」なんて感じで人を煙に巻いてオーボエを吹いていた。

ただ、こうして彼の演奏を今聴くと、趣味がいいです。
あの日、僕がクラブで彼のオーボエを聴いたときに感じた「新しさ」がやはりそこにあります。何か、一芸に秀でた人の持っているおしつけがましさがないというか。どこかさわやかだったりします。

ジャズミュージシャンは、こうやっておけばジャズだよとかいう共通認識みたいのがあって、だからスィングのピーターソンのフレーズを耽美のティエリー・ラングが弾いちゃったりとかするんだけど、ラティーフにはそれがない。自分の役割はこれだという感じで、ジャズしない。
ジャズしないジャズマンが仕事だった人。

男たちよ、怪しく生きよう!

羽島 亨

P.S.
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P.P.S.
ブログの女王といえば眞鍋かおり

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  1. 2006/09/26(火) 10:03:08|
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