【裏】作曲の王道 ジャズ & ポップス・レビュー

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耽美の極致 / A Star To My Father ティエリー・ラング

第6回−ジャズ 耽美の極致/A Star To My Father ティエリー・ラング

PRIVATE GARDEN PRIVATE GARDEN
Thierry Lang Trio (2003/07/01)
Elephant


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ブルーノートから出たラングは音の綺麗なピアニストだなという感じがあったけれど、これほど耽美だとは思ってもみなかった。

アルバム・プライベート・ガーデンが出て、この1曲に収録されているA Star To My Fatherを聞くと、「あれ、ショパンにこんな曲があったっけ?」と思うほど、耽美なのである。
高い音程からはらはらと花びらがこぼれるように舞ってゆく様子。
その花びらが静かで青い池の水面にゆったりと浮いている様子。
午後の気持よい木漏れ日の中で聞こえる鳥の声。
モネの世界ですね。
耽美の極致。
「ショパンって、こんな曲書いたかな」と思いながら、実は背後に聞こえるベースやドラムのさりげないサポートがこれはクラシック曲ではなくて現代に生まれた楽曲なのだと僕に気付かせる。

NYのMOMAにかかっているモネの「睡蓮」いいですよ。
広い窓の傍に長〜い睡蓮が飾っているのがよかったなあなんて思っていたら、このプライベート・ガーデンのジャケには似たような写真の前で能天気に笑っているトリオの写真がありました。
(今見たら、違うジャケに変わってました。オリジナルの能天気さはダメだったんですかね)
どれがラングなのかわからなかったけれど、きっと真ん中の人でしょう。おぼっちゃんという感じです。才能のあるお坊ちゃん。

2曲目の「Nunzi」だって美しい。
エバンス的であるともいえる。エバンス最後の録音が発見されましたとこれを出してきたら、僕はその言葉を信じます。でも、エバンスよりもっと、現代性があるのですね。
その現代性とは何か。
エバンスにあるのは男の美学。男は黙して語らず。ラベルやドビッシーなどフランス音楽をジャズに取り込んだ慧眼は芸術家のそれであります。
きっといじめられたでしょうね。
エバンスって、誰ともあまりやっていないでしょう。
自分のトリオだけで、他人とのセッションが皆無に等しい。
キャノンボールとやった奴とかあまりよくないし。ゲッツともやっているけれど顔見世興行で実りないし。
エバンスはいわば、内弁慶の人です。
仲間とやらなかったら全然良さがでない。

きっと自分の美を守るには、自分を最小限理解してくれる相手じゃないとダメだとかたくなに貫いてきたんでしょう。
そこが誰とでもやれるピーターソンとはえらい違いです。
それだけ、新しかったし、いじめられたんでしょう。

だってジャズに耽美ですから。
それまでノリの音楽と思われてきたジャズに耽美を入れたわけですから、「女臭せえピアノ弾きやがってよ、お前」とかハンク兄弟とかにいわれそうじゃありませんか。

ラングは、エバンスを知って、ラベルもドビッシーもわかって、で、このプライベート・ガーデンがある。
つまりは孤独じゃないんですね。
エンリコ・ピエラヌンツィもいるしエバンス派は掃いて捨てるほどいる。
その中の一番になれば良いんです。
だから伸びやか。
エバンスみたいに意固地になっていないところが可愛い。どっちが好きかは聴く人の好み。
ただ、このアルバムは美しい。エバンスの「You Must」に迫る勢いです。日曜の午後、ワインなどを飲みながら聞きたい音楽です。
耽美好きなら、本当にオススメ。

羽島 亨

P.S.
〜♪ 只今このブログは何位でしょう?


P.P.S.
ブログの女王といえば眞鍋かおり

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テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2006/08/28(月) 23:11:57|
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