【裏】作曲の王道 ジャズ & ポップス・レビュー

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二人でお茶を / ビヴァリー・ケニー

第8回−ジャズ 二人でお茶を / ビヴァリー・ケニー
ケニー、君と二人でお茶したかったよ


二人でお茶を(紙ジャケット仕様) 二人でお茶を(紙ジャケット仕様)
ビヴァリー・ケニー (2006/08/23)
3Dシステム


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ビヴァリー・ケニーの「二人でお茶を+1」がプライエイド・レコーズから発売された。
「うーん」
「そんなのがあったのか」
ケニーのアルバムはルーストから3作、デッカから3作というのが定説だった。その全部を集めようと躍起になったものだけれど、当時六本木のWAVEにいらした田中さんには(CDショップの方です)「あせらなくても、きっと出ますよ。5年くらい待てば」とか言われ、「そんなに待てるかよ」と中古レコード屋とか中古を扱っているCDショップを探し歩いてやっと6枚手に入れたのが10年ほど前。

何故そんなに躍起になるのかといえば、「美人らしい」からであります。
「美人らしい」というのはいささか怪しい表現ですが、さまざまな本に「美人歌手」とか「当時のジュリー・ロンドンを追う」とかという表現が数多く見られ、きっと美人なんだろうと思いながらCDとかLPを買いあさっていったわけです。でも、どのジャケットを見ても、「美人らしい」けれど「美人だと確信出来ない」。

疑問に思うんだったら発売されたジャケットを見てみてください。
最近ならネットを検索すれば一発で彼女のジャケットを見ることが出来ます。

記念すべきケニーのデビュー盤「Beverly Kenney Sings for Johnny Smith」は手で顔を半分隠して全部見えないし、2作目の「Come Swing With Me」が一番顔がわかるジャケなんだけれど、美人というよりはちょっとクールなお姉さんという感じで、別に口説きに走ろうという感じじゃないです。
3作目の「Sings With Jimmy Jones and "The Basie-ites"」は最悪で、「おいおい、アゴが長いんじゃないのか」ってな感じ。
このジャケは完全に失敗ですね。
4作目になるとデッカ盤「BEVERLY KENNEY SINGS FOR PLAYBOYS」は、タイトルにちなんでウサギのお面を被ったタキシード男と一緒に映っているんだけど、顔は横を向いていてどんな顔なのか詳細がつかめない。アゴは短くなっているようだけど、髪形が変で、恋心につながらない。大切なのは恋心です。ジャケ一枚に恋する男の気持を君たちは知っているのか!
5作目の「BORN TO BE BLUE」はソファに寝そべって下向いていて顔が確認できず。6作目の「LIKE YESTERDAY」なんか意地の悪いおばさんにしか見えない。
何が「美人歌手」だよ。何が「ジュリー・ロンドンに追いつく」だよ。これじゃどんな顔なのか全然わからねえじゃねえか!

6作集めるのにどれほどの時間と金をかけたのか。
毎週毎週中古レコード屋を回って、神田でケニーのジャケを見たといえば行き、オークションでケニーの最後盤が出るらしいといえばネットに貼り付き、バカみたい。
つまり、美人の噂は高いんだけれど、美人度を確認できない人がビヴァリー・ケニーだったわけです。あのジャケット見て「うわ、美人だなあ」ってケニーに惚れる人って、いないでしょう。

ジュリー・ロンドンはそこへいくと違います。
デビュー作の「「JULIE IS HER NAME」はすでに歌手でこんな綺麗な人がいるかなと思わせるし、第一、グラマーで僕の心をひきつけました。それからのジュリーのジャケットはどれも彼女の「美人」度を確認するに最適な写真が使われていて、中にはセクシーなポーズを作ってコスプレまでしている恥ずかしいジャケまであって、やっぱりリバティーって会社はエグかったけれど男心を確実に掴むのが上手かったなあと感心するわけです。
そこへいくとルーストとデッカはボケ。美人なら美人度を確認できるようなジャケにすべきでしょう。(と半分怒りに変わっている)

僕の中のビヴァリー熱が冷めた最近になって発売されたのがこの「二人でお茶を+1」。早速CD屋さんにいって買ってみると、これはすごい。やっぱり美人だったンです。

このジャケ、誰が撮ったか知らないけれど、アベドンっぽいポーズをとって、ケニーが美人だったことを明確にわからせてくれます。僕、こういう手の細くて長い女性が好みです。頭がちいさければ最高。でもケニーは頭もちいさそうで合格点。なーんだ、やっぱみんなが言うように美人だったんだ。(今までの投資が無駄にならなかったことへの、安堵)

で、音を聴くと、再度びっくりしました。
これがいいんです。
タイトル曲の「二人でお茶を」がすごくいい。
ピアノ一本で歌っているんですが、しなやかで、明るくて、フレーズにセンスを感じるわけです。ドリス・デイのこの曲もいいですが、ケニーのほうが色っぽ可愛い。
そういえばケニーのもうひとつの謎、「スタン・ゲッツのレコードからボーカルのフレージングを学んだ」とどこかに記述されているのを見たのですが、今まで発売されたCDのどこにもゲッツの影響なんてみられない。ただ歌っているだけで、飛びぬけたセンスをあまり感じなかったんですね。
ところがこの「二人でお茶を」はがんがんフェイクしている。メロディをどんどん変えて歌っているんですが、そのフェイクにゲッツとまではいえないけれど、コールマン・ホーキンスとかレスター・ヤングっぽいセンスを確認しました。なーんだ、センスあるお姉さんだったんじゃないか!

これ、デビュー前のデモテープだったらしいです。
僕なんか、ルースト盤の「THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU」よかこのアルバムに収録されている同じ曲のほうが好きだもん。活き活きしていてチャーミング。

そして最後のケニーの謎、どうして死んだかについては、ライナーノーツに答えがありました。自殺でした。
それまでの文献などではホテルの火事に巻き込まれてというのが定説でしたが、このライナーには昔の恋人の証言まで出てきて、彼女が自殺未遂を繰り返してきたことが語られています。キツイですね。

美人のジャケットを見て、ジャズのサックスからボーカルのヒントを得たという音楽に触れて、28歳の生涯を綴ったライナーを読んで、僕は成功を夢見たきれいなお姉さんが自滅してゆく姿をそのまま歩かされた気がして、ちょっとキツくなりました。
でも、このアルバムは名盤でしょう。
夢に向かって走った才能がそのまま形になっている。

ああ、生きているケニーと二人でお茶、したかったなあ。
みなさんも、美人には優しくしましょう。
美人だって悩み、抱えているんだから。(いやな奴もいるけど)

羽島 亨

P.S.
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P.P.S.
ブログの女王といえば眞鍋かおり

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テーマ:JAZZ - ジャンル:音楽

  1. 2006/08/31(木) 09:00:25|
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  1. 2007/10/11(木) 07:10:10 |
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