【裏】作曲の王道 ジャズ & ポップス・レビュー

こんな音楽知ってる?あの「作曲の王道」のプロデューサーとアーティストが、(独断と偏見に満ちた)良質な音楽情報を紹介!

トニー・ベネット/THE ART OF EXCELLENCE

第32回 トニー・ベネット/THE ART OF EXCELLENCE 〜恋のときめきを歌う60男がいる。〜

The Art of ExcellenceThe Art of Excellence
(1990/10/25)
Tony Bennett

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恋のときめきを歌う60男がいる。

もうずいぶん前の話だけれど、私がある歌舞伎俳優と仕事をしたときに、彼のリムジンに乗って品川の彼の自宅まで移動したことがありました。
その時に社内に流れていたのがこのアルバム。
リムジンの後部座席に持たれて世間話をしようとしたとき、突如トニーの「WHO DO PEOPLE FALL IN LOVE」がかかって会話を止めたのです。
「これって誰のアルバムですかね」
「トニー・ベネット」
歌舞伎役者は華やかな笑顔でそういって、「最高でしょ?」と付け加えました。
リムジンはキラー通りに差し掛かるところで、綺麗な夕方の街の景色とトニーのすこしかすれた歌声とマッチして、「トニーっていったいいくつなんだろう」と思ったものです。

わたしの知っていたトニー・ベネットという歌手は、フランク・シナトラの影に隠れていた存在で、イタリア系ジャズボーカリストで、ポップスにヒットがあって、すこししゃがれた声が魅力という以外、何も知りませんでした。

ジャズといえばもっとハードにスイングするボーカリストのほうが好みだったし、バラードならまたバラードでいい歌手は他にいると思っていたのですが、このアルバムを知って彼と向き合ってびっくり。これがいいんですね。

調べてみると、録音当時はすでに60歳でした。発売が86年で彼が26年生まれなので。
60歳?

色気があって、でも説得力があって、いい感じです。
ライナーノーツには、14年離れていたCBSに戻っての最初のレコーディングとあります。14年離れていたレコード会社と再度契約するというのは、奇跡です。ナンたってレコード会社は流行の産物、新しいことが大切な産業なので、60男と再契約を結ぶっていうのは、奇跡以外何者でもありません。
だからそれ自体、トニーの勝利なのです。
ああ、男として生まれたからにには、こんな風になりたいなと思ったものです。

私はそこまでの年齢ではないですが、友人に60間近の人間も多くいるので、会話はどうしたって一仕事終えた感が強くなります。一緒に酒を飲むと一番ループする単語が「定年」となります。
ああ、男って、定年がある意味人生の節目で、その前に「定年意識しだす年齢」と「定年なんて関係ねえ」という区分があって、多かれ少なかれ「定年」が人生の大きな区切りになるのでしょう。
トニーは違います。

ジャケットを見てください。「これからだ」という感じの顔をしています。
人間って何となく人生のピークを早いところに設定していると思いませんか。自分でピークを早く設定すると、そのピークまでは頑張れるんだけれど、その先ががたがたになってしまう。定年後の男達がそんな感じで、それまで会社という礎があったのがその土台を失って方向性をなくし、どうやって生きたらいいかわからなくなってしまう。

ひとつひとつ階段を上がってきた。そしてひとつひとつを自分のモノとして確実にしてきたって感じがします。

それがこのアルバムの1曲目、「WHO DO PEOPLE FALL IN LOVE」に表れている。
これはラブソングです。恋に落ちたときが最高、って歌です。恋のときめきを歌う60男がいる。「60歳で恋かよ」なんて言葉が聞こえてきそうです。60だって恋が出来るぜ、といわれているような感じがします。なるほど、リミッターをかけているのは自分自身であるってことですね。

60歳でパワフルってことのコツは、自分にリミッターをかけないってことじゃないでしょうか。そんなことが学べる、素敵なアルバムです。

羽島 亨

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  1. 2008/07/10(木) 12:56:37|
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Mario Biondi(マリオ・ビオンディ)/I love more LIVE

第31回 Mario Biondi(マリオ・ビオンディ)/I love more LIVE 〜男なら余裕かましていいですか。〜



I Love You More Live

わたしの友人に、U君というのがいます。多分わたしの友人の中で一番事業に成功した人物でしょう。
彼がわたしのスクールに顔を出したとき、一体どこで売っているのだろうと思われる柔らかそうなカシミアのスーツを着て、何やらミアゲを差し出しました。
「これ、みなさんで」
西麻布で有名な銘菓。

彼が高校時代と一番変わったのは、ゆっくるしゃべるところでしょう。
なるほど、金持ちになると人はゆっくり喋るようになるのかと思ったものです。
それがやけに堂に入っていて、大物感をかもしだすのです。
「僕は、君たちと違うのよね」的な。「急がなくても、時間あるからね」みたいな。

なるほど、男は慌てない、的なイメージですね。大所帯の会社を束ねていると、そんな感じになるのでしょう。1秒でも無駄にしないために早口で話すわたしとは、大違いであります。

イタリアの伊達男、マリオ・ビオンディのアルバムを聞いて最初に思い浮かべたのは、U君のことでした。
最近あまり聞くことが出来なくなった低音の魅力と、余裕たっぷりな歌いっぷりが、U君のイメージとぴったり重なったのです。
「わたし、こういう歌嫌い。余裕ある歌手って、何?」
妻の言い草です。

男としては、余裕ある男の色気を感じてほしいものですが、妻はあくまでも男女同権、男と女が同じ位置にいるという立場をとっているので、余裕が嘘臭くて嫌だそうです。

そういえば、50年代とか60年代、フランク・シナトラは、生涯困惑した顔するのだろうかってほど、余裕かましていましたね。男としては、あんな風に将来なりたいものだと思ってがんばったものです。

ところが80年代になると、等身大で生きようよ的なムーブメントが広がって、男女同権的な運動も加わって、余裕綽々な男像っていうのがどこかに消え去ったものでした。

消滅した感じだった余裕男像ですが、ひさしぶりに復活させたのがU君でした。そんな友人を見てわたしは、半分羨ましかったり、半分はおいおいって感じになったのが本音でしょうか。そこには確実に演技が入っているはずなので、でも演技入れられるのは余裕なわけですから、微妙な気分です。

マリオはバカラックの「close to you」さえも余裕かまして歌います。
「リオデジャネイロ・ブルー」なんか最高です。
バックは4リズムなんてちゃちなこと言いません。
ブラスにストリングスです。
豪華です。

そういえば、最近のわたしが見たライブ、ほとんど4リズムですね。ブラスが入ると「豪華!」って感じがします。ストリングスの入ったライブ、この十年、見たことないかな。

その豪華なバンドを従えて余裕たっぷりに歌うもんだから、U君に感じた違和感と、ちょっとした憧れも感じました。

マリオ・ビオンディを聞くなら、歌声だけでなく豪華なバックも楽しんでください。背景にある男の余裕を感じてみてください。そこに憧れるか嘘くさく感じるかは、あなた次第。

ただ、そこらの歌手を聞くより、面白いですよ。
わたしは是非、来日したら聞きにいきたいと思ってます。

羽島 亨

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  1. 2008/06/03(火) 13:28:04|
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Steve Czarnecki Trio/when I dream of you

第30回 Steve Czarnecki Trio/when I dream of you 〜助手席の恋人にキスしたくなるピアノトリオ〜



タワーで何か良いピアノトリオがないかと探していると、オススメのコーナーにこれがありました。ジャケットがイカしています。エリオット・アーウィットの湖畔のドライブをしている若い恋人同士がキスをしているシーンがバックミラーに映っている、有名な写真。
いいですね。ロマンチックです。

湖畔、ドライブ、夕焼け、キス。
女の子はちょっとした美人です。
危なくないんでしょうかね、キスしながら車を走らせて。
危なくないわけ、ないですよね。

日本の法律にはドライブ中にキスしちゃだめっていうような項目はありません。でもシートベルト着用を守ったら、助手席の恋人とキスはできません。シートベルト着用は隣にどんなに素敵な恋人がいても、どんなに夕日が綺麗でロマンチックな場面に出くわしても、キスを禁止しているのと同じなのです。

そういえばこの間、運転免許の書き換えに鮫洲に行ったら、将来、後部座席に乗っている人もシートベルトをしなきゃいけなくなるということ。
ということは、車の中ではみんな座席にへばりついてないと罰金を取られるような仕組みになってしまうわけですね。
だからアーウィットの写真は古き良き時代の名残のような写真になるわけです。

「お父さんの時代は、ドライブ中に助手席の恋人とキスできたんだぞ。」
「へー、危なくないの?」って、子供は答えます。
「恋はちょっと危ないのがいいんだよ。」
なんてね。

実はこのアルバム全体がそんな感じです。
華やかなピアノトリオです。
のっけから高いキーでメロディが始まります。
指が良く動いて、良くスイングするピアニストです。

今回彼の名前を聞くのは初でした。
ベースだってがっしりして、タイコはハイハットがきっちり2,4を刻んでくれます。
ということは、良くスイングするトリオだってこと。
選曲も良いです。
「Body & Soul」とか「Who can I turn to」とか「When I Dream Of You」とか、夢見るようなメロディが次から次へと出てきます。

オープニングの曲は「J.smith」ってなっているけれど、きっとジミー・スミスでしょう。グルービーなブルースです。部屋で流していたら、ピート・ジョリーとかルー・レヴィとかかなと思うくらい高い音のソロが気持ち良くて気に入りました。

最近のブラッド・メルドーとかにはない陽気さで、多分流行からすると古いタイプで、一切、影のないピアノですが、その分、ロマンチックであります。そういえばオスカー・ピーターソンとかジョー・ブッシュキンとか、スイング派のピアニストはロマンチックで影なんか一切なかったのに、最近はああいったピアノがいないなあと思っていた矢先なので、嬉しい盤でした。

きっとこんな人が青山のbody & soulでやってくれたら、毎晩楽しいのになあと思うようなテクニックです。メルドーとか、やけに音楽していて、隣の女の子を口説くような気になりません。

エンターテイメントと純文学ってあるなあと思うわけです。
お楽しみの音楽とやけに音楽する音楽。
どちらが好きかは別の話として、もっともらしく音楽ばかりになったら不味いなあ。危なくてふしだらで楽しい面も持っていくなくちゃ。

きっとこの盤は、若い恋人がドライブ中にキスができなくなったように、時代遅れのサウンドなのでしょう。

でも、こういうのがいいんです。
車の中で鳴らしてみると、どうして隣の恋人にキスしちゃいけないんだって思うようになりますよ。

羽島 亨

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  1. 2008/05/07(水) 13:43:23|
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(マルチン・ボシレフスキ・トリオ) Marcin Wasilewski Trio/January 〜

第29回 (マルチン・ボシレフスキ・トリオ) Marcin Wasilewski Trio/January 〜真珠男登場〜



マルチン・ボシレフスキ・トリオのECMの第2弾が出ました。

ECMは地雷を踏むみたいにときどき理解不能なアルバムが出るのでこのところ買うのを押さえていたのですが、マヌ・カッチェの「Playground」以来ボシレフスキの名前があると買わずにはいられない自分を発見し、ちょっとしたブームであるのです。

アルバムに針を落としてみると、(CDなので通電すると、でしょうかね)出てきたのはボシレフスキのあの見事に研ぎ澄まされたピアノ音。
1曲目、「The First Touch」。
アルバムタイトルのJanuaryとあいまって、何となく雪景色が浮かぶのはわたしだけでしょうか。ベースがズーンとくるタイミングでピアノがカーンときて、雪景色の中をゆったりと歩いている女性の姿が浮かびます。

細身で首がすらりとした美形の女性。誰でしょうね。昔の日活映画に出てくるような感じの、すこし疲れたような美女ですかね。
わたしはこの幽玄の世界がずっと続くように願っていたのですが、1曲目はあっけなく終わり。ああ、残念。良い曲は永久に続いてほしいのに。

2曲目はピーコックの曲です。
ミディアムテンポのピアノを知り尽くしたメロディ。
ベースが5小節目からズーンとはいるともう、再度、幽玄の世界です。
パーカッシブなベースがブーンと低い音を叩きます。
コードが並行して動く曲なので、上や下にひっぱられるような感じがします。この辺がピーコック作品の麗しいところですね。ベースが弾んでいます。寒い国の寒い季節。その中にある青い情熱、ってところでしょうか。
わたしはエバンスが大好きですが、エバンス以上にクールです。やはり寒い国で生まれたメンバーは、違います。

3曲目はフリーテンポのイントロの後、ドラムがマレットでプレイをはじめ、ちょっとそれまでの曲と曲調が違うなあと思っていたら、なにやら懐かしいメロディが浮かんできました。
ニューシネマ・パラダイスのテーマソング、モリコーネ作品です。
三年ほど前、先輩の編曲家のお宅でパーティをしたとき、その方がこのサントラを掛けてくれたとき、あまりのメロディの美しさにみんなの前で泣いてしまったことを思い出しました。サントラはメロディを脚色しないでそのまま演奏していたのですが、このトリオのニューシネはもっともったいぶっている感じです。

4曲目はこれまた珍しいプリンスの「Diamonds And Pearls」。
ちいさなテーマをどんどんリハーモナイズして聴かせる妙が素晴らしくて、16ビートに乗りながらつむぎ出すメロディに透明感を感じます。ウッドベースが16を刻むのは難しいものですが、美しい。
アドリブに入るとボシレフスキの独壇場。この人、ピアノの高いところを使うのが上手いなあ。フレーズを弾いた後のフォローのフレーズが綺麗な分散和音なのだけれど、音色の美しさに魅せられてずっと聞き入ってしまいます。
ここでわたしははたを考えました。

今年の新年会にギターの増崎さんと一緒したのですが、その時彼は、「ギターの音を真珠が落ちてゆくように弾きたい」と語っていたのが印象的でした。わたしはピアノを弾きますが、イメージにあるのは三十年ほど前、NYでビル・エバンスを聞いたときのこと。かなり大きなサウンドでしたが、まるで真珠の粒がジャズクラブで舞っているように感じて驚いたものです。あれ以来、ピアノ弾きとしては真珠が舞うように弾きたいと思っているのですが、なかなかそうは行きません。打鍵の強さが5本全部そろっていることと、タイミングが正確でないとあの「真珠感」が出てこない。真珠感はピアノ弾きの夢だとばかり思っていたら、ギタリストもそういったので、かなり驚いたのです。

この真珠感、演奏できるピアニストは限られています。
高い鍵盤を叩かなければならないので、マッコイ・タイナーとかは残念ながら外れます。キースはかなりぴったりの真珠感ピアニスト。スイング派ですが、アート・テイタムなんかも真珠派ですね。なくなったピーターソン氏は、ある時期、真珠派でした。後半でしょうか。それまでのピアニストはもっと肉感的な中音を多用した人が多かったせいで、真珠派はすくないように思えます。

そう考えていくと、マルチン・ボシレフスキはかなりの真珠派ではないでしょうか。
アルバム全体から高いコロコロする音が転がります。
転がりながら、とてもクールな哀愁が漂います。
マルチン・ボシレフスキバンザイです。

羽島 亨

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  1. 2008/03/03(月) 14:11:29|
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スタン・ゲッツ/スタン・ゲッツ・イン・ストックホルム

第26回 スタン・ゲッツ/スタン・ゲッツ・イン・ストックホルム 〜時代錯誤のスイングピアノは、何か、イナセでさえある。〜



車を買い換えた。
新しい車になったのだから、新しい気分でCDを聴こうと、普段あまり聞いていない手元に置いてなかったCDを6枚選んだ。
たまの休日、墓参りに出かけたときにそれをはじめて聞くことになったのだ。

いきなりインディアナ。
テナーの軽快なソロからはじまるこの曲の主は、間違いなくスタン・ゲッツだろう。
ゲッツは今日もごきげんなソロを取っていて、フレーズによどみなし。
それに続くピアノのソロ。なるほど、何ともノスタルジックなメロディで、よきスイング時代を感じる。

私にはこのピアノが誰かわからなかった。大体車にどのCDを積んだのか、自分でも覚えていない。

このピアノ、誰だっけ? ゲッツならジミー・ロウルズかルー・レヴィかピーターソンか。その誰でもないなあと思いつつ、2曲目のwithout a songへ。

ちょっとアメリカの売春宿で聞くようなピアノの感じがあるなあ。行ったことないけど。

うーん、このピアノ、良い。

ピーターソンではない。このピアノ、あそこまで上手くないもの。ピーターソンはずっと昔、サンケイホールで88鍵の上を手が自由に動き回っているのを見て、人間技じゃないと感心した覚えがある。

ルー・レヴィでもない。レヴィは確かに名手だけれど、もっとモダンだし。ロウルズは一聴してロウルズだけれど、それとも違う。

ちなみに、ロウルズって、本当にいいか?

私が知っているロウルズは全部ゲッツとのコラボ盤なんだけれど、指だってそれほど動かないし、フレーズも切れ切れ。ちょっろって出てきてはちょろって良さそうなことを弾くんだけれど、わざわざコピーして自分で弾いてみたくなるようなフレーズではない。

例えばエバンスとかピーターソンだったら、絶対格好良いフレーズというのがあって、たった3小節コピーするのに1週間かかろうとも、自分で弾いてみたいと思うことがあんだけれど、ロウルズにはそれがない。

誰かロウルズファンの方がいたら、どれを聴けばよいか教えてください。

話を戻します。このピアニスト、テディ・ウイルソンとかアート・テイタムとか、そんなスウィングの匂いがぷんぷんする人、誰でしょう。

で、私はどうして車を止めるのよと目を三角にする妻を尻目に高速道路の路肩に車をつけ、オートチェンジャーを開け、一体誰のピアノだろうと中を見て驚いた。

ベンクト・ハルベルイ。全然知らない人。

大体ゲッツinストックホルムなど、ちゃんと聞いていなかったかもしれない。ボブ・ブルックマイヤーとやった奴とかピーターソンとやった奴とか「ディア・オールド・ストックホルム」が入っている盤とかの影に隠れてちゃんと聴いていなかった。ただ、こうして聴くと、スエーデンのバンドのもっているちょっとレイドバックしたスイングな感じでとってもgoodでお気に入り。

アメリカの中で活躍するピアニストは、時代の流れの中でお勉強しながら活動を続けるというのが実情で、スイングからバップ、クール、ホット、なんてその時々の流れを汲みながら自分の音楽を表現しなければならないんですね。自分がスイング大好きでも、流れがフリーならフリーのイディオムも使うというのが現状でしょう。

in ストックホルムがレコーディングされた1955年には、アメリカではほとんどのミュージシャンが演奏しなくなったスイングスタイルを、アメリカから遠く離れたストックホルムというヨーロッパの偏狭の地で、スイング命、みたいバンドがあって、それとの共演を楽しんでいるゲッツがいたということでしょうか。

ゲッツのアルバムで私が好きなのは、肩に力がはいっていないということ。

もちろん肩に力の入った作品もいくつかあるけれど、レコードがそこそこ売れたためにどんどんverveは制作したのでしょう。問題作、衝撃作的なオドシの音楽が多いレコード業界の中で、ゲッツのアルバムだけは肩の力が抜けている。これはすごいことですね。

発売点数がすくないアーティストは「僕、こんなにいろんな人、知ってるんだもん」という感じになって、ゲストに金かけて一体誰が主役なのかわからないアルバムとまったく逆の制作意図です。

ストックホルムのゲッツだと確認した私は、ちょっとゆったりした気分で「もうあなたは本当に!」と半分呆れ顔の妻の待つ運転席に戻り、車を走らせます。

その日はちょっと霧雨が降ったりやんだりで墓参り日よりではなかったのですが、ベンクト・ハルベルイに乾杯。

時代錯誤野郎。

ヨーロッパのスイング親父。でも僕、スイングピアノ大好きだもーん・・・なんて声が聞こえる。

流行と関係なくスイングしているあなたの姿、何か、イナセでした。

羽島 亨

P.S.
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  1. 2007/12/22(土) 16:33:45|
  2. ジャズ
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